鍼灸師と漢方薬
「東洋医学」という言葉を鍼灸学校在学時に何度も聞きましたが、日本では「中医学」のことをそのように呼ぶ傾向があるように思います。
「東洋」というからには、中医学のみならず、韓医学やインドのアーユルヴェーダなども含んでいる言葉のようにも思えるのですが...
ここ、韓国ではどうかといいますと、一般的に「韓医学」と「中医学」を分けて考えているように思います。いえ、分けているというよりは、中国から伝達された「中医学」を基礎として、それを韓国独自に発展させた「東医宝艦」と「四象医学」という理論体系が取り入れられたのが「韓医学」と言えるのかもしれません。
いずれにしても、中国の「中医師」や韓国の「韓医師」は名前の通り、医師なわけでして鍼灸や漢方薬を処方して治療行為を行うことができます。韓国では、「韓医師」になるために大学で「韓医学科」を卒業し国家試験に合格しなければなりません。
聞くところによると、西洋医学の病院のように専門性が高まっており、「脊椎専門」とか「美容専門」とか「肥満治療専門」を謳った「韓医院」が見受けられます。
日本はどうかというと、私のように「鍼灸師」という国家資格を持つ先生方はたくさんいらっしゃいますが、中国や韓国のように漢方薬の処方はできません。
ご存知かと思われますが、日本では漢方薬も医師が処方しますよね。
鍼灸学校在学中に学んだのですが
東洋医学(ここでは鍼灸学校で学んだ呼び方で記載させていただきます)の治療概念には「外治方」と「内治方」という考え方がありまして、簡単にいいますと、
「外治方」- 外から何らかの刺激を加える治療・・・鍼灸やマッサージなど
「内治方」- 体の内部に何かを取り入れる治療・・・漢方薬など
症状にもよりますが、基本的にこの両方のアプローチを必須とする医学と言えるのではないかと思います。
鍼灸治療の効果は、臨床で実感しては来ましたが、いざ韓国で韓医師の治療を見てみると、やはりこれが本来あるべき「東洋医(という名前でいいかどうか...)」の姿なのではないかと思わされます。
韓国にも四象医学や東医宝艦など、今も臨床に広く使われる理論体系があり、今後少しずつ整理して掲載したいと思います。